傭われ女騎士が王国にケンカを売るらしい

竜に雇われた女騎士が王国を相手に大奮闘⁉︎

傭われ女騎士が王国にケンカを売るらしい 第2話

リリア「あの⁈これ何処にいくの⁉︎」


「我が主の元だ、もう少し待て」


ワイバーンはリリアを掴んだまま、渓谷の奥地へ飛ぶ


高所なのと速度に晒され、リリアは成す術もなく情けない表情を晒していた


リリア「もう…お嫁に行けない」





「ふぅ、着いたぞ?」


リリア「………」


「おい、我が主の寝床で吐くなよ」


リリア「おぇえ、無茶いうなよぉ」


凛々しい筈の騎士が、今は無残にゲ○にまみれている


こんな姿、絶対セルディやダスクには見せられない


しかし彼奴はちゃんと帰れたのか?


渓谷で迷子など洒落にならないが、自分の安否を優先させたリリアは、思考からダスクを消し去った


リリア「んん、さて…この先なのね?」


「ああ…主も待っているだろう」


薄暗い祠だが、静かなせいもあり若干不気味さを醸し出している


その奥地に赤く光る目が見えた


リリア「ひっ…あ、あなたが主…ですか?」


「いかにも、私があやつらの主だ。昔はステラと呼ばれていたよ」


リリア「ステラ…え?雌、あっ…違ッ…失礼いたしました‼︎」


ステラ「慌てずともよい、もうすっかり老いてね…」


リリア「あの…その翼竜の主さんが私に何の用でしょう?」


ステラは身体を起こすと、リリアの正面に向き合う


ステラ「そうだね…まぁ端的に言えば人間との仲裁役をしてもらいたいんだよ」


リリア「仲裁…ですか?」


ステラ「そうさね、まずは何処から話すかねぇ…お前の国に竜騎士がおるであろう?」


リリア「ええ、精鋭部隊にいます」


ステラ「そこにいる翼竜は、私が人間に従う様に仕向けた同士だ」


リリア「⁈」


ステラ「人間の動向を観察する為にね…他の国にいる竜騎士ワイバーンも、大半が我が同士なのだよ」


リリア「は…はぁ、規模が大きくて何とも」


ステラ「でね…とある国が怪しい動きをしているとの報告が入ったんだよ」


リリア「怪しい…動き?」


ステラ「それはお前の国さ」


リリア「⁉︎」


ステラ「複数の同士が、竜騎士同士の会話を聞いていてね。なんでも他国との戦争を仕掛けるだのなのだの…まったく愚かな事だ」


リリア「ちょ…ちょっと待って下さい⁉︎ウチの国に限ってそんな…⁉︎」


ステラ「では今、この渓谷に何の用で来た?」


リリア「この渓谷は私の家が……あ、体調はワイバーンの調査って」


ステラ「大方、竜騎士の戦力増強を図る為の下調べだろうね」


リリア「………そんな」


ステラ「そこでだ…竜の言葉を理解出来るお前に人間との仲裁役をかってほしい」


リリア「でも…仮にそうしても信じて貰えるか…」


ステラ「もし人間がこの地を荒らす様なら、我々も総力を挙げて国を滅ぼすつもりだ。もっとも、基本的には穏便に済ませたい…私も人間が嫌いでは無いのでな」


リリア「ステラさん…」


ステラ「お前の家系に…ノアという女はおるか?」


リリア「⁉︎…ひいお婆ちゃんがそうですけど」


ステラ「竜騎士の祖ともいえる…素晴らしい人間だった。私と共に大空を翔け、紛争に出向いては鎮圧を行い数多くの戦を収めてきた」


リリア「じゃあ最後に竜と言葉を交わせたのは…」


ステラ「ああ、彼女の親なども言葉を話せたが、我々と共にいたのはノアだけだった…そこから後はお前意外に言葉を交わしていないのだが」


リリア「ええ…私は何故か話せるんですよ。お母さんとかは無理でした」


ステラ「ふ、そんなお前が居たから今回の話を聞いて欲しくてね」


リリア「人間と…ワイバーンの争いなんて…私は嫌です!協力させて下さい‼︎」


ステラ「…やはりノアと同じ目をしているね。ありがとう、リリア…だったか。お前にはトリスと共に行動してほしい」


リリア「トリス⁉︎ですか…」


ステラ「あれも、怠け者だが我が子孫の中では優秀なのだよ。信じられないだろうがね」


トリス「おいおい婆ちゃん。そりゃ酷いぜ?」


リリア「トリス!いつの間に⁉︎」


トリス「あん?最初からだよ。なんか大変らしいな」


リリア「ええ…でも具体的にどうしましょう」


ステラ「我に考えがある…翌朝にまたおいで。そこで行動を起こすよ」


トリス「お前も帰らないとマズイんじゃないか?攫われた事になってんだろ?」


リリア「あ…やっば」


ステラ「そうゆう事だ…トリス!送っておやり」


トリス「ええーコイツ重そうだー


リリア「ふん!」


トリス「いっでぇ‼︎おうここで戦争するかコラぁ‼︎」


リリア「レディに重いとかね‼︎いいわ掛かっておいで‼︎」


ステラ「ふふ…懐かしいねこの光景」






トリス「おい!暴れるな⁈」


リリア「いやぁぁぁああ!やっぱり怖いー!」


トリス「馬鹿!慣れろよ‼︎おらおらおら‼︎」


リリア「ひぃいいいいい!」


リリア「おぶっ…‼︎」


トリス「え?おぉう⁉︎ちょ…おま…吐くなよオイ⁉︎」


リリア「」


トリス「」











トリス「ぜぇ…着いたぞ」


リリア「…もう、お嫁に行けない」


トリス「だろうな」


リリア「さ、さてと…とりあえず身体を洗ったら王国に戻らなきゃ…」


トリス「俺も湖で身体を洗わないと…うへぇ…汚ねぇ」


リリア「悪かったわよ!でも仕方ないじゃない」


トリス「お前本当にノア様の子孫かよ。信じられねぇ」


リリア「ノア様…か、アンタらの所ではそんな偉い人で通ってるの?」


トリス「あ?あの方はな、俺達の…ステラ婆ちゃんの命の恩人なんだよ」


リリア「へぇ…そうなんだ」


トリス「人間が攻めてきた時に、単身で俺達ワイバーンを庇ったんだよ。んでステラ婆ちゃんと、人間と竜が共に歩む道を説いたんだ。それが竜騎士の始まりらしい、ずっと聞かされた昔話だけどよ」


リリア「すごい人だったのね」


トリス「どっかのゲ○まみれとは大違いだな」


リリア「もう忘れて…はぁ」


トリス「とにかく!明日は頼んだぜ‼︎また迎えにくるぞ」


リリア「ええ、お願い」


リリア「私も行こうかな」


部屋に戻り身体を洗い王国に向かう


そして、2度もゲ○まみれになった事を引きずりながら







セルディ「リリア⁉︎無事だったか…」


リリア「はい隊長…ご心配をお掛けしました」


セルディ「よかった、後はダスクだな…」


リリア「………へ?」


セルディ「ダスクも恐らく襲われたのだろう…今調査隊を編成している所だ」


リリア(あの馬鹿…あの距離で帰れなかったの?ありえない、いや…彼奴ならありえるか)


セルディ「とにかくお前は今日は休むといい。疲れただろう」


リリア「え…ええ、では。失礼します」









リリア「ダスクの奴……はぁ」









リリア「さてと…ただいまーっと」







ダスク「ん?リリアかどうした」


リリア「」


ダスク「?」


リリア「きゃぁあああ!」


ダスク「あでッ…ちょ…やめ…痛い痛い!」


リリア「なんでアンタが此処にいるのよぉ⁉︎」


ダスク「馬鹿が‼︎お前が攫われたから作戦を考えていたのだ!手ぶらでは帰れんしな」


リリア「緊急時には報告が基本でしょうが‼︎それでも小隊長かよ‼︎」


ダスク「はっ‼︎そんなものは知らん‼︎」


リリア「この馬鹿は…」


ダスク「しかし貴様…今ただいまと言わなかったか?」


リリア(しまっ…どうする私‼︎)


リリア「………」


ダスク「おいどうした、おい‼︎」


リリア「そおりゃあ‼︎」


ダスク「あべッ⁉︎」


ダスク「」


リリア「これで良し」


トリス「いいのかよ」


リリア「うわッ…ビックリした!アンタ帰らなかったの?」


トリス「水浴びしてたらそいつが見えたんでな…しかし見てみろよ部屋の中」


リリア「?………はっ⁉︎綺麗になってる」


トリス「俺が戻った時はそいつが掃除を始めてたぞ」


リリア「ダスク…なんて馬鹿」


トリス「見ず知らずの家を片付けるか普通よ」


リリア「ええ……しかも下着まで綺麗にたたんで……くっ」


トリス「コイツは任せろ。王国近くに捨ててきてやるよ」


リリア「助かるわ、調査隊が来るかもだから、上空で見つけたら落とすといいわ」


トリス「いや、流石に死ぬだろ」


リリア「まぁ大丈夫じゃない?」





リリア「という事は、私がシャワー浴びた後に不法進入してたのね…」


始めてストーカーに遭った女性の心境が解る気がした


リリア「けど…部屋綺麗ね」


自身のずぼらさと、ダスクに生活面で負けた劣等感に頭を抱えながらもリリアは眠る事にした






ー翌朝ー


トリス「おう、起きたか」


リリア「あんたねぇ、一応レディの寝起きよ?もう少しプライバシーってモンがないのかしら?」


トリス「半ケツで寝てる奴の何処がレディだよ」


リリア「⁉︎…だまれぇ‼︎」


トリス「とりあえず行くぞ、婆ちゃんが待ってる」


リリア「ええ…分かったわ」





トリス「んだお前、背中乗れるようになったのか?」


リリア「ふん、夜中に目が覚めてバランスボールで練習したのよ!女子力の為せる技ね」


トリス「ほーん」






ステラ「おお、よく来てくれたね」


リリア「おはようございます。ステラ」


ステラ「早速だけど時間が無くなったのでね。簡単に説明するよ」


ステラ「まず、お前の国を狙い隣国が戦争をしかけてくるそうだ」


リリア「まさか⁉︎こんな早くに…」


ステラ「私はてっきり、お前の国から仕掛けるもんだと勘違いしててね…。だから隣国が事を起こす前に両国に圧力をかけるんだよ。まずはお前の国に向かい兵を出さないよう進言する。流石に隣国の状況も耳に入ってるだろうからね」


ステラ「そして隣国の戦力の要である竜騎士兵を掃討する。まぁワイバーン達は話をしているからやり易いだろうね」


リリア「なるほど、でも私の国って事は顔がバレるんですが…」


ステラ「ああ、だから良いものがあるよ。こっちだ」


リリア「?」


洞窟の奥底に小さな部屋が1つ


何かが安置されているようだ


ステラ「これをお前にやろう。ノアの忘れ形見の鎧だよ」


リリア「うわぁ…真紅の鎧…すごく綺麗」


フルフェイスの騎士の鎧だが、薄くも防御力の高さと機動性を重視した作りとなっている


まさに竜騎士にうってつけの装備だろう


ステラ「これなら顔も見られないしバレないだろう?」


リリア「なるほど…なら早め目にケリを付けてかないとね。私もとりあえずセルディ隊長に体調不良とかで連絡しとくわ」


トリス「律儀なやつだな」


リリア「社会人として当然よ!」








リリア「さて…すごいこの鎧!とてもしっくり来るわ‼︎」


トリス「流石にその鎧だと、普段のだらし無さはわからねぇな」


リリア「余計な御世話よ…あれ?あんたも鎧してるの?」


トリス「ああ、婆ちゃんがしていけって五月蝿いんだよ」


リリア「アンタもなかなか似合うじゃない」


トリス「当たり前だろ。これでも翼竜の時期、当主なんだからな」


リリア「そりゃそうよねー……え?時期当主って?」


トリス「あ?まんまそれだけど。婆ちゃんが引退したら俺なんだよ」


リリア「嘘…信じられないわねソレ」


トリス「俺だって好きでやるんじゃねぇよ。ったく、着替えたなら行くぞ」


リリア「ええ!」





リリアとトリスは空を駆けるかの如く舞う


それに追随するように、トリスの同胞が姿を見せた


数はゆうに300、大国の竜騎士隊でも後ずさりする規模である


リリア「まずは私の国ね。行くわよトリス‼︎」


トリス「おうよ‼︎」








傭われ女騎士が王国にケンカを売るらしい 第1話

セルディ「貴様が親玉か⁉︎」


竜騎士「………」


セルディ「む?竜騎士か…いや、野生のワイバーンを従えているとなると魔物の騎士…魔剣士が乗っているのか⁉︎」


竜騎士「…忠告する。手出しをするな。これは我々の戦いだ」


セルディ「なっ…やはり人間なのか?」


竜騎士「忠告はした…自惚れるなよ人間共」


セルディ「ま…まて‼︎」


竜騎士「………」









竜騎士「…はぁ、どうしてこうなっちゃうのかな」














ーとある渓谷ー


「んー‼︎今日もいい天気ね。さてと支度しますか‼︎」


ここは王都の外れにある渓谷


私はその渓谷の麓に一人暮らしをしています


両親は亡くなり自分の力で生きる事を選んだ私は、騎士の学校を卒業し国家が管理する騎士団に在籍しています


女ってだけで甘く見られるので、人一倍鍛錬を積み、若くして小隊長まて登り詰めました


争いが多いこの世界で、決して楽しい生活とはいきませんが


それなりに満足しています


ただ




「お?もうそんな時間?んだよー、そんな急いでも良いことないぞリリア」


今気だるそうに話し掛けてきた声


それはこの渓谷に生息する中型の翼竜


そうー


ワイバーンである。愛称はトリス


黒色が映える、見栄えのいい翼竜だが性格はずぼらなようだ


彼は庭先で朝日に照らされて日光浴中である



リリア「あのね、私はあんたみたいにダラダラ過ごしてる暇ないの!小隊長だよ?偉いんだよ?」


トリス「かぁーでたでた!肩書きに弱い人間はやだねぇ!いいか?大事なのはなぁ…」


リリア「だったら今晩のごはんは抜きー」


トリス「頑張れリリア!応援してるぞ!」


リリア「…ったく、行ってきます」



血筋というか先祖代々、竜騎士を多く輩出してきた家系なのだが、ここ数百年は産まれて来なかった


しかし、私はその力を持っていたらしく、竜族と会話できたりもする


そんな私は傷付いたトリスを見つけて、いつの間にか共に過ごすようになっていたのだ


王都の部隊には竜騎士も多く存在するが、会話できたりとかは忘れ去れて、遥か昔のおとぎ話レベルらしい


でも私は、あえて竜騎士の道は選ばなかった


竜と話せるなんて知れたら、趣味の悪い研究なんかに使われかねない


そもそも、竜と話せても乗りこなしたりはまったく出来ないのである


これは新人の時の実技で確認済みだ


渓谷を下りながら景色を楽しみつつ王都へ向かう


片道30分程度だが、渓谷から降りてくるのは案外大変だ


王都に寮はあるものの、なんというか街というのに慣れない


自然の中で住む方が私には向いているらしい


そんな事を考えていると王都に着いた


セルディ「お?おはようリリア、今日も早いな」


セルディ隊長、若くして隊長を務めるいわばエリート


知的で部下からの信頼も厚くイケメンと女性からの指示も凄まじい


私はそうゆうのに疎いので、ただの良い上司止まりだけど


リリア「おはようございますセルディ隊長!隊長こそ1番じゃないですか」


ダスク「馬鹿め!隊長より先に来て掃除をしていたのは僕だ‼︎」


リリア「あ…ああ、おはようダスク」


彼はダスク、私と同じセルディ隊の2番隊の小隊長である


彼も若くして小隊長だが、まぁ色々と残念な男だ。顔もソコソコなのにもったい無い


ダスク「隊長⁉︎足元が汚れています!ささ、こちらに履き替えて下さい」


セルディ「おいおい、これ位なんだっていうのだ。」


セルディは呆れながら適当にあしらう


ダスクはセルディに陶酔していて、彼の為なら命を捨てれると毎日豪語している


周りからの痛い目線は毎日の事だ


リリア「あ、隊長。今日は特別な任務と聞きましたが…」


セルディ「ああ、そうだ。お前らに先に伝えておこうと思う」


ダスク「はい!なんでしょう隊長‼︎」


セルディ「この先の渓谷に、凶悪なワイバーンが出現するらしい。その調査に出向いてほしい」


ダスク「討伐ですね!」


セルディ「いや、一応竜騎士隊の戦力にとも考えているのだが…なるべく戦わない方針だ」


ダスク「わっかりました隊長!このダスクにお任せ下さい‼︎では!」


リリア「あっ…部隊も連れないで行きましたね彼」


セルディ「…ふぅ、まぁ良い。ワイバーンは知性も高く警戒心が強い。なるべく少数での任務だが……ダスクとリリアに任せたい」


リリア「えっ…あの馬鹿…ッ違う、ええと2人でですか⁈」


正直、不安で仕方がない


しかも私は、あの渓谷に住んでいる事は周りに口外していない


そんな所に自ら調査に行くなんて自殺行為である。相方はしかもダスクだ


セルディ「あくまで調査だからな。無理はしないように。お前達の部隊は私が預かるよ」


リリア「は…はぁ、了解しました」


気が重い…初任務より不安なのは初めてだ






ー渓谷入り口ー


ダスク「遅いぞリリア!貴様セルディ隊長の任務をなんだと心得る」


リリア「あーうるさいうるさい!」


ダスク「手柄は僕がいただく!強いワイバーンを従えて帰るのだぁ‼︎」


リリア「あ、ちょ…ええー」


ダスクは走り出した


警戒心もクソもない


よく小隊長になれたものだと未だに謎である


しかしダスクが走る方角には


そう


私の家があるのだ


リリア「やっば…トリスもいるのに⁉︎」


リリアは自身の家に向かい走り出した





ダスクの後ろ姿が見えた


しかもその先に見える私の家


リリア「…最ッ悪の展開ね」


リリアはとりあえず、シラを切りやり過ごすと決めた


バレてもどうと言う事は無いだろうが、何か嫌な予感がしたからだ


ダスク「む?こんな所に怪しい家があるぞ⁉︎」


リリア(ただいま、お願いトリス居ないでね…)


ダスク「おい!誰かいないのか?おーい‼︎」


リリア(叩くな叩くな!たてつけ悪いんだぞ?開かなくなったらどうしてくれる⁉︎)


ダスク「ぬぅ…鍵が掛けられているのか」


リリア「る…留守みたいだしここはスルーしましょ?」


ダスク「む!裏の窓が開いてるぞ⁉︎」


リリア(おらトリス!あいつ開けやがったな⁉︎窓も開けれるのか最近の翼竜は‼︎)


ダスク「ふむ…質素な部屋だな。しかも汚い」


リリア「そ、そうかなー?普通じゃない⁉︎」


ダスク「馬鹿め!僕は潔癖性なのだ。おおかた、この部屋には山賊でも住んでいるのだろう」


リリア(そこまで汚くねぇよ‼︎)


ダスク「…む?」


リリア「……げ⁉︎」


ダスク「これは…女物の…下着か?」


リリア(ああぁぁぁああ‼︎もうダメだ耐えられない‼︎)


リリア「ダスク!ここはねー


「グァアアアルァァア‼︎」


ダスク「む!なんだ‼︎この声は」


リリア「あぁ‼︎コラ捨てるな馬鹿ぁ‼︎」




外に出ると、リリアですら見たことがない大型のワイバーンが姿を現した


「グルルルル‼︎」


ダスク「はっ!こいつはいい。是非打ち負かして連れて帰ろうじゃないか」


スラリと剣を抜き、ワイバーンに向けて構えをとる


リリア「こらダスク!なるべく戦闘は避けるようにセルディ隊長が…」


ダスク「この状況でそんな事が出来るか?」


リリア「………出来る」


ダスク「ほぅ?どうやって…んべ‼︎」


リリア「ごめんね…さてと」


リリアは鞘でダスクの頭を叩き伏せ気絶させる


そしてワイバーンの方へ歩み寄り


リリア「こんにちは、あなた見ない顔ね?」


「ほぅ…我と話せるのか?やはりアイツの言うことは本当だったか…」


リリア「アイツって…もしかしてトリス?」


「そうだ…しかし疑い深い話でもあったのでな…実際に確認しにきたのだ」


リリア「んー…タイミング的には最悪ね。仕方ないけど」


「そやつは…というかお主も王都の騎士か?」


リリア「知ってるの?ええそうよ」


「ふむ…しかしトリスも酔狂な。王国の者と手を組むとは」


リリア「まぁアイツを保護した延長上で一緒にいるだけなのよね」


「まぁ良い…我らの主がお主に会いたがっておる」


リリア「ワイバーンの…主?」


「トリスを使いに向かわせたが…アイツまたサボりおってからに」


ワイバーンは大きな鼻息を吹き出すと、同族に対し怪訝な表情になる


リリア「ちょ…ちょっとまって!会いに行くのは良いけど、私は…背中とか乗れないよ?」


「ふむ?案ずるな、ではこうするまでよ」


リリア「え?…えぇ⁉︎きゃぁあああ!」



ワイバーンは脚でリリアの胴を鷲掴みにすると、勢いよく空へ舞い上がった


リリア「いやぁ〜‼︎むりむりむりむり!降ろしてぇええええ‼︎」


「この程度の高さで大袈裟な…それでもあの方の血筋か…」


リリア「いやぁぁぁああ‼︎」



ダスク「…………」


ダスク「…はっ⁉︎僕は一体⁉︎」


ダスク「あれは…リリアがワイバーンに攫われただと⁉︎…これは一刻も早く隊長に知らさなければ…‼︎」






リリア(あぁ…私は一体…どうなるのぉぉぉおおお⁉︎)